民画

庶民の生活を彩った絵画たち

民画 民画とは、生活空間の装飾や人々の願いが込められた実用画をさす。
民画という用語自体は、日本の哲学者であり民藝運動を推進した柳宗悦(やなぎむねよし)による造語である。1920年代から朝鮮の民族美術品に強い関心を示してきた柳が、朝鮮の民画について述べたのは1957年の雑誌「民藝」が始めてであった。韓国内ではこの用語が不適当だという意見もあるが、現在は민화(ミンファ・民画)で定着しており、正統絵画とは違う自由奔放な民衆画として高く評価されている。

現在残っている民画の大部分は朝鮮時代後期のものだ。それ以前のものが少ない理由は、民画は宮廷画家(図画署の画員)や名のある人々によって描かれたものではなく、無名の職人たちによる、生活必需品の一つであったからだ。風を防ぐと同時にその場の意味づけをする屏風、壁の保護と魔よけを兼ねて直接貼った絵など、庶民にとってなくてはならない大事な物ではあっても、古くなれば新しいものに替える消耗品でもあった。

民画は、絵画に関する教育を受けていない放浪絵師による絵が大部分である。生きるための生業として、庶民の求めに応じた絵を描いた。内容は支配階級が好んだ正統画の模倣から、土俗信仰的な物まで幅広い。繰り返し同じ題材で描かた民画は、定型化した絵となって継承されていった。長い時代にわたって、どこの地方でも、どんな家にもそれ相応の民画が使用されていた。家の状況によって絵の水準も相当な開きがあるが、優れた技量を持った者に依る絵もあれば、絵画の技巧として驚くほど稚拙だが、笑いを誘う楽しい童画のようなものもある。

民画の種類

*韓国の歴史ドラマで、王妃の部屋には花鳥図、王の背後には十長生の屏風などがあったりする。それらの絵にどんな意味があるか分かると、よりドラマを楽しめるのでは。

花鳥図 文字図
花鳥図:
女性の部屋に屏風として飾られた。鳥は必ず対となっており、夫婦和合・家内繁栄の象徴であり、現存する数も一番多い。
文字図:
儒教、道教の教えである「孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥」を文字絵の屏風として男の子の部屋に飾って教育したものや、「寿・福」の字を飾り文字にしてものなど。
十長生図 冊架図
十長生図:
不老長寿の願いの象徴「太陽・雲・山・岩・水・鶴・鹿・松・竹・不老草・桃など」を描いたもの。
冊架図:
貴重だった本や文房具を描き、男性の部屋に飾った。
鵲虎図 その他
鵲虎図:
鳥のカササギと虎を描いた韓国民画の定番であり、辟邪(魔よけ)の代表的なもの。
そのほかにも山水図・風俗図・故事図・魚蟹図・・・・巫俗図などがある。
分類の仕方によっては貴族社会などで使われていた生活絵画も含める場合がある。

民画の特徴

  • 装飾的でありながら意味性が明確だ。 置く場所によって、目的、絵の内容が決められている。
  • 土俗信仰の呪術的要素が反映されている。辟邪(魔よけ)の要素を持ち、生活を守るために貼られた。
  • 集団意識を一体化させる役割。
  • 共同所有し、婚礼・葬儀などの儀礼の場を演出した。例えば村の広場にござを敷き、華やかな牡丹の屏風を立てれば、そこはお目出度い結婚式場となる。民画は、常に庶民らの生活と共に息づき、人々の心を集約させる役割を担ってきた。
  • 無名の絵師による生活画なので、落款などの名前や判などはない。正統画家が描いたのではないので、技法や表現の限界と制限があるが、完成度の高い作品にはみられない、天真爛漫なエネルギーが魅力だ。

ソウル市内の国鉄清涼里駅から南へ3時間半程下り、ヨンウォル駅で下車すると朝鮮民画博物館がある。
日本国内では東京にある日本民藝館(井の頭線、駒場駅下車、徒歩10分)が李朝民画を多く所蔵している。特別展を開催することもあるので、要チェック。